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2021年7月21日 投稿:swing16o

明暗が分かれている地方銀行の実態とは?

有財餓鬼(うざいがき)
→ 欲深く、金がすべての者。

金がすべてという強烈な言葉。

守銭奴とか拝金主義者とかお金に携わる言葉は悪い意味での印象が多い。

もちろん、金がすべてといはいわないが、金に固執することは決して悪いことだとは思わない。

ただ、いくら稼いでいるのかとか貯金がいくらあるのかと聞いてくるようなタイプの人とは根本的なファイナンスの考え方が違うことは書いておきたい。

金に興味がないとか自ら主張している人ほど、金というツールに縛られているように思う。

ファイナンス教育の重要性についてはいろいろと書いてきてるので、参考にしてほしいが、今回はまた別の目線で金に関することについて書いてみよう。

ということで、今回取り上げるのはこちらのテーマだ。

地方銀行の現状について

“赤字”の地方銀行が30社「本業利益」ランキング

(出典:東洋経済オンライン)

地方銀行、いわゆる地銀の業績が悪くなっているという情報は、なんとなく聞いたことのある人も多いだろう。

地方の現状について、広島に拠点を置いているstak社のCEOとして書いてみよう。

いわゆる地方都市の人間は二極化している。

一方は地方に骨を埋めるタイプで、もう一方はどんどん外に出ていくタイプだ。

極端かもしれないが、今も昔も変わっていないように思う。

そして、前者の地方に骨を埋めるタイプの人間の就職先として大人気なのが地方銀行である。

就職活動で地銀への入行が決まれば、いいところへ就職したねとなるわけだ。

このロジックに関しては昔から疑問しかなかったが、未だに根強くある概念なのも否めない。

そんな地方銀行の現状ランキングが一目瞭然なので、興味のある人は是非目を通してもらいたい。

地方銀行「本業利益」ランキング

地方銀行「本業利益」ランキング

(出典:東洋経済オンライン)

金融庁が定義する厳しい利益指標がある。

それが、本業利益という指標で、コア業務純益と共に稼ぐ力として見られるものだ。

より詳しく書くと、本業利益の概念は下記のとおりだ。

本業利益 = 貸出残高 × 預貸金利回り差 + 役務取引等利益 – 営業経費

この指標は銀行の決算短信には記載されていない。

そして、コア業務純益に含まれる有価証券の利息配当金などを除外している。

つまり、銀行のまさに本業である融資と手数料のみで稼げているのかを見るためだけの指標である。

 

最新の2020年度決算の地銀100行の本業利益を算出したところ、30行の地銀が赤字となっている。

ワーストランキングは下記のとおりである。

  1. 第四北陸銀行(新潟県):- 5,811(百万円)
  2. 十八親和銀行(長崎県):- 3,850(百万円)
  3. 岩手銀行(岩手県):- 3,202(百万円)
  4. 福井銀行(福井県):- 3,197(百万円)
  5. 富山第一銀行(富山県):- 2,695(百万円)
  6. 東京スター銀行(東京都):- 2,514(百万円)
  7. 長野銀行(長野県):- 2,425(百万円)
  8. 山梨中央銀行(山梨県):- 2,091(百万円)
  9. 八十二銀行(長野県):- 2,039(百万円)
  10. 大垣共立銀行(岐阜県):- 1,860(百万円)

ワーストランキングの10位までを書き出してみたが、本業でここまで赤字を出すというのは、なかなか致命的だ。

金融機関も企業となんら変わらず、赤字が続けば倒産する。

金融機関は破綻しないと勝手に思っている人もいるが、そんなはずはない。

事実、過去に倒産した金融機関はたくさんある。

破綻金融機関等リスト

平成12年11月1日以降だけでも、これだけあることを知っておいた方がいい。

 

ただ、こうやって書くと全ての地銀がイケてないように思われてもいけない。

トップ10の地方銀行も紹介しておこう。

  1. 横浜銀行(コンコルディアFG)(神奈川県):48,361(百万円)
  2. 福岡銀行(ふくおかFG)(福岡県):47,717(百万円)
  3. 千葉銀行(千葉県):43,236(百万円)
  4. 静岡銀行(静岡県):28,471(百万円)
  5. スルガ銀行(静岡県):26,473(百万円)
  6. 西日本シティ銀行(西日本FHD)(福岡県):22,347(百万円)
  7. 広島銀行(広島県):17,541(百万円)
  8. 山口銀行(山口FG)(山口県):16,316(百万円)
  9. 足利銀行(めぶきFG)(栃木県):14,684(百万円)
  10. 常陽銀行(めぶきFG)(茨城県):14,535(百万円)

ファイナンシャルグループとなっているところも目立つが、このようにしっかりと本業利益をあげている銀行もある。

特にトップ3に限っては、400億円以上の本業利益があるのでとても優秀だといえる。

トップとワーストの差が540億円以上あることを知っておくといいだろう。

その他の地方銀行の指標について

とりわけ、地方銀行の本業利益に注目して書いてみたが、他にも様々な指標がある。

コア業務純益、自己資本比率、不良債権比率、経費率といったような指標だ。

冒頭のリンク先にそれぞれ載っているので、興味がある人はさらに見てみるのもいいだろう。

 

参考までに1つの指標である、自己資本比率について書いておこう。

銀行には、経営の安定性を保つための自己資本比率規制がある。

海外拠点のない国内基準行は4%以上、海外拠点を持つ国際基準行は8%以上が求められている。

地方銀行の大半は国内基準行に分類されるものの、健全性の目安として8%を求められることが多い。

地銀100行のうち、その8%を切る銀行は8行あることも知識として頭に入れておくといいだろう。

 

ちなみに、業種別の黒字企業の平均自己資本比率はこんな感じだ。

宿泊業は14.4%、不動産業は32.7%、運輸業は36.3%、小売業は36.7%、卸売業は38.3%、建設業は39.5%、製造業は45.6%、情報通信業は58.6%といった具合である。

様々な業界のいろいろな指標を知っておくことで、自分がいる今の場所を俯瞰で見ることができるようになる。

ということで、地方銀行という業種の実態を知ってみてどのように思ったか、自分なりにまとめてみるのもいいだろう。

 

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植田 振一郎 Twitter

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